映画「エレジー」の感想(ネタバレ)

2010.12.20 Monday 映画レビュー(★★★★★)作品

■映画「エレジー」の感想(ネタバレ)



■監督:イザベル・コヘット
■出演者:ペネロペ・クルス ベン・キングスレー パトリシア・クラークソン デニス・ホッパー
ピーター・サースガード デボラ・ハリー

WOWOWで放送していたペネロペクルス出演の映画「エレジー」を鑑賞。

【映画「エレジー」のあらすじ】

快楽主義的な人生哲学を広く世間に喧伝すると共に、自らもそれを貫きながら今日まで生きてきた初老の大学教授、デヴィッド。美しい教え子の女学生コンスエラに心惹かれた彼は、ある晩、彼女と一夜を共にする。お互いに30歳も年が離れ、最初から割り切った関係でいたはずのデヴィッドだったが、年甲斐もなくコンスエラの美しさにすっかり心奪われ、彼女との関係を深めていく。だがそんなある日、彼女に不意に去られてしまい……。

※WOWOWから引用
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【映画「エレジー」の感想】

快楽(肉体的)と恋愛(感情)を分けて考えていた理性派の初老の男が、魅力的で美しい教え子に出会い、一夜を共にするが、それ以降も彼女に惹かれ別れを告げられないまま、ズルズルと関係を引きずり、真実の愛に出会い、苦悩する男の姿が描かれる。

同じ本でも、読む人の生い立ちや経験によって受け取り方は異なる。例えば今読んで感じることと、10年後のあなたが読んで感じることは全く異なる。

最初の講義で男が語る哲学が、この物語の伏線になっている。

この物語も、男が出会う一人の女性コンスエラ(本)という点では同じだが、2年後にその彼女に会うと、過去とはまた違った決断を下している。女性もまた同じで、今まで重要だと思っていたことも、それより大きな出来事が彼女を襲うと、その判断の無意味さに気づき、本質を求め過去と違う決断を下している。

絵画を所有するコレクターは、絵画を所有しているつもりになっているが、実は絵画の方がコレクターを所有している。大抵、コレクターの方が先に死に、絵画の方が長く残っている。

上記も本編のなかである作家の本に出てくる言葉だが、美しい年下の女性と付き合った初老の男が、30歳下の彼女を所有することに目覚め、年齢的コンプレックスから、嫉妬心や独占欲が出始め苦悩するが、実は、初老の男が彼女を所有しているのではなく、初老の男を彼女が所有しているという逆説的な考えがある。

その言葉を証明するように、30歳も上の初老の男の方が、彼女よりも年下に見えてくるというシーンがある。

クフ王のようにピラミッドを買うこと(作ること)もできるが、クフ王は先に死にピラミッドは今もずっと残っている。

評価 ★★★★★ (星5つ)

(この映画は、ラストに答えはないが、それまでの過程が深く繊細に描かれている。しっとりしていてかなり濃厚な映画。上記以外にも”美しい人(女性)は外見に惑わされ内面は見えない”など哲学的?な言葉も光る。美しい女性=ペネロペクルス(コンスエラ) を使っているが、これがその名に恥じず、素晴らしく嵌っている。ペネロペのヌードシーンもあるが、単純にエロさよりも、物語の演出に一役買っている。そしてこの映画は、彼女のパーティに行かない初老の男のだらしなさに共感し泣ける。)


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映画「レスラー」の感想(ネタバレ)

2010.12.10 Friday 映画レビュー(★★★★★)作品

■映画「レスラー」の感想(ネタバレ)



■監督:ダーレン・アロノフスキー 
■出演者:ミッキー・ローク マリサ・トメイ

WOWOWで放送していたミッキローク主演の映画「レスラー」を鑑賞。

【映画「レスラー」の予告編】




【映画「レスラー」のあらすじ】

1980年代に人気を誇ったプロレスラー、ランディだが、今は体の老いをステロイド注射で凌ぎ、小さな地方興行に出場するのが関の山。トレーラーハウスに1人で住み、生活費はスーパーのバイトで稼ぐというしがない毎日のランディだが、孤独を癒そうと中年ストリッパーのキャシディや長らく疎遠だった娘ステファニーと交流を望む。ある日ステロイドの副作用で心臓発作を起こしたランディは、レスラー稼業からの引退を決心するが……。

※WOWOWから引用
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【映画「レスラー」の感想】

この映画で主演のミッキーロークがアカデミー主演男優賞にノミネートしていることでも話題になっていた作品ですが、個人的にこのレスラーのダメ男っぷりがツボに入る好きな内容で、ミッキーローク演じるランディのでかい背中に付きまとう、どうしようもない悲哀さが画面から溢れ泣けてくる。

一時期絶大な人気を得たプロレスラーのランディだが、それは過去の栄光で現在は老いぼれ、薬を打ってやっとのことでリングに立っている。しかし、かつての人気はなく、プロモーターからもらうギャラは、くしゃくしゃの札を数枚もらううだけ。

家に帰るが、一人で住んでいるトレーラーハウスの家賃も滞納しており、大家に鍵を掛けられ家に入れず、結局車の中で夜を明かす。翌朝、近所の子供達が寝ている彼の車を取り囲み、プロレス技を掛けてと名前を呼ばれ起こされる。ランディは善玉レスラーなので子供には絶大な人気があり、近所の子供達とも仲良く遊ぶのだが。

平日。プロレスだけの収入では、生活できないため、近くのスーパーにアルバイトに行く。特技を生かして品出しや搬入の仕事をするが、リングに立っていた時の華やかさはなく、トレードマークの長い金髪だけが、空しく輝いている。

スーパーの店長には仕事をもっと増やせないかと頼むが、試合があるため、週末はバイトは入れないランディにとって、良い返事はもらえず、そのまま仕事を後にする。

夜、近くのストリップバーへ行き、御馴染みの好きなストリッパーを探すと、彼女は若い客らに悪口を言われていた。ランディは黙っていれず助けに入る。「200ドルもらえたのに…」と愚痴をこぼすストリッパーもランディに助けてもらうと、満更でもない表情。ランディは、好きなストリーパーのサービスを受け、ひと時の癒しをもらう。

週末。試合の準備のため、美容院で金髪を染め直し、日焼けサロンで日焼けする。試合前の控え室では、仲間たちと挨拶を交わし、リングでは敵対する悪玉レスラーとも仲良く会話し、試合運びについて、お互いの技や流れをあれこれと確認し合う。用意していたカミソリを腕のテーピングに仕込ませると、試合に出る。

リングに立ち、相手に注目が集まる中、倒れた隙にテーピングの間から仕込んでおいたカミソリを取り出すと、自分の額にカミソリをつき立て流血を演じる。流血姿のランディを見た観客は興奮し、盛り上がる。

試合を終え、控え室に戻ると、トレーナーが出血したランディの治療を始める。血まみれになり、心身ともに傷ついているランディの姿が痛々しい。

あるとき、薬の副作用で控え室で倒れてしまい、そのまま意識を失う。目を覚ますと病院のベッドの上で、胸には心臓手術の痕があった。医者の話では、プロレスはもうできないと言われてしまう。

そんな訳はないと、トレーニングを始めるが、途中で息があがり、倒れそうになる。

本当にプロレスが出来ないと感じたランディは、絶縁状態になっていた娘のことを思い出し、会いに行くが、困った時だけ会いにくるなと言われてしまう…。

プロレスはもうできないと知り、お金を稼ぐためこれまで断っていた週末にもバイトを入れるようになる。週末の仕事は、肉やサラダを計り客に出すという接客の仕事だった。

娘の気を引くためプレゼントをしようと思うが、何をプレゼントして良いかわからず、ストリッパーの友人に相談し、一緒に選ぶのを手伝ってもらう。買い物を終えると、一杯だけと彼女をバーに誘うが、良い雰囲気になるも、お客とは線を引きたいと一方的に言われ、帰られてしまう。

傷つきながらも選んだプレゼントを持って、娘に会うと、「お前に嫌われたくないんだ」と正直に話すと娘との関係は幾分改善される。また、どこかに行こうと娘と約束して別れるが、約束の当日、前日に飲んで遊んですっかり忘れてしまう。

ようやく思い出した時には、すでに約束の時間は過ぎていた。娘の家を訪れるが、何時間も一人で待っていたという娘は傷ついて怒り、これまでのこともあり、「もう一生会いたくない」と修復できない関係になってしまう。

スーパーでのバイト中、多い少ないとグラム数を気にする老人にイライラしながらも、キレずに続けていたが、マナーの悪いファンにランディだと見つかり集中力を無くす。たまたま肉を切る機械に指を入れていたところ、機械に巻き込んでしまい血が流れ出す。

痛みとイライラで切れたランディは、仕事もなかばで悪態をついてそのまま仕事を飛び出し辞めてしまう。

すべてを失ったランディは、プロレスを出来ない体にムチを打って、過去のライバルとのリベンジマッチに参加することを決意する。当日、満員のファンが会場を埋め尽くす中、ランディは現れ、ファンに向けてマイクパフォーマンスする。

「大切なものをすべて失うかもしれない

”お前は終わりだ”と言われた、

だが俺に辞めろと言えるのは、

ここにいるファンだけだ」

■Bruce Springsteen - The Wrestler



評価 ★★★★★ (星5つ)

(レスラーという特殊な職業の舞台裏がわかる映画。ミッキーローク(ランディ)の背中越しに追っていくカメラがドキュメンタリーっぽく、リングに上がるときの華やかな場面と、ストリップバーに行ったり、アルバイトをしている時の一人の人間としての行動が対照的で悲しい。体が大きいためどこにいってもプロレスラーということはまるわかりで、スーパーで働いているのをファンに知られてしまうなどは屈辱的だ。かつてのライバルレスラーは事業を持ち成功しているなか、ただプロレスに拘って生活していたランディは、人並み以下の生活を続けている。ただ一人の娘には、もう一生会いたくないと言われ、好きな女には、客との関係だと言われる。プロレスを続けたいが、心臓は、悲鳴を上げている。そんななか、自分の試合を待つファンは会場を埋め尽くしているのを見て、自分の居場所に気づく。どんなに落ちぶれても夢を追い続け、好きなことをやり続ける男の美学が素晴らしい。エンドロールで流れるブルーススプリングスティーンの歌も歌詞が良く、映画に花を添える。)

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アニメ映画「ATOM」の感想(ネタバレ)

2010.10.19 Tuesday 映画レビュー(★★★★★)作品

■アニメ映画「ATOM」の感想(ネタバレ)



■出演者(声優):フレディ・ハイモア(Freddie Highmore)/クリステン・ベル(Kristen Bell)/サミュエル・L.ジャクソン(Samuel L.Jackson) /シャーリーズセロン
■日本語吹き替え出演者:上戸彩、役所広司、林原めぐみ、山寺宏一
■監督:デビッド・バワーズ(David Bowers)

WOWOWで放送していたCGアニメ映画「ATOM」(吹き替え版)を鑑賞。

【アニメ映画「ATOM」のあらすじ】

未来の空中都市メトロシティ。そこでは面倒な仕事はすべてロボットが肩代わりし、人間は豊かな生活を享受していた。あるとき、科学省長官の天才科学者テンマ博士は、タカ派の大統領ストーンに依頼された秘密実験中の事故で、息子トビーを失ってしまう。息子の死を嘆き悲しむテンマ博士は、持てる技術をすべて注ぎこみ、ついにトビーを最高のロボットとして蘇らせる。だが、彼はやはりトビーが人間ではない事実に耐えられず……。

手塚治虫の有名な作品「鉄腕アトム」をハリウッドがCGアニメでリメイクした映画「ATOM」ですが、上記の基本情報位で特に何も知らずに見始めましたが、どこかで聞いたことがあるアトムの声に、途中から上戸彩がアトムの声優として参加していることに気づいた。

この上戸彩の声ですが、アトムの少年(男)だけどロボットという中世的な感じによく合っていて、以前、上戸彩がドラマ金ハ先生で演じていた性同一性障害に悩む生徒役再びという感じがしないでもない

ストーリーも、自分がロボットだと気づかない少年が、少年を作り出した父親から受け入れて貰えず差別を受けると、自分の居場所を見つける旅に出て、はじめて仲間が出来ると、ロボットという自分の現実を受け入れ、人助けをする姿が描かれている。

ハリウッドのCGアニメのお決まりの挫折からの乗り越えのあるストーリーだが、アトムの一生懸命な姿に普通に泣けてしまう。


評価 ★★★★★ (星5つ)

(日本の原作ものをハリウッドでCGアニメ化してくれたものを再輸入して日本語吹き替えで観るというのは、日本ではお金も掛からず凄く良いと思った。(※CGに関してはハリウッドの方が技術が数段上)

日本でお馴染みのアトムということで、エンドロールが出るまで、ずっと日本で作った作品だと思っていたが、実際にはハリウッドのリメイクだった。そのため細かいところでCGの迫力もすごいし(※CGについては香港の企業が作成しているらしい)、ストーリ−の流れ、人物の感情を表す音楽のつけ方はまさにピクサー映画という感じで、隙がない。海外では、製作費に6500万ドルを割いたようだが、興行収入が半分の3500万ドルと全然回収できず、大コケしているみたいだが、アトムを知っている日本人としてこの映画は素晴らしい内容。個人的には、上戸彩の声優の功績が一番大きい。上戸彩の声は全くとげがなく聞き心地が良い。)


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映画「愛を読むひと」の感想(ネタバレ)

2010.08.01 Sunday 映画レビュー(★★★★★)作品

■映画「愛を読むひと」の感想(ネタバレ)





■監督:スティーヴン・ダルドリー 
■出演者:ケイト・ウィンスレット レイフ・ファインズ デヴィッド・クロス ブルーノ・ガンツ レナ・オリン

WOWOWで放送していた映画「愛を読むひと」を鑑賞。

【映画「愛を読むひと」のあらすじ】

1958年、ノイシュタット。15歳のマイケルは偶然から知り合った年上の女性ハンナに誘惑され、彼女に童貞を捧げる。ハンナの部屋に通い出すマイケルだが、彼女から頼まれ、「オデュッセイア」「犬を連れた奥さん」などの古典小説を彼女に朗読するように。そんなマイケルが彼女との愛が深まったと感じた時、ハンナは突然、彼の前から姿を消してしまう。8年後、法学生になったマイケルがハンナと再会したのは意外な場所だった。

※WOWOWから引用

【映画「愛を読むひと」の感想(ネタバレ)】


ベルンハルト・シュリンクのベストセラーの自伝的小説『朗読者』を『リトルダンサー』『めぐりあう時間たち』のスティーブン・ダルドリー監督が映画化した『愛を読むひと』がWOWOWで再放送していたので見てみました。

「愛を読むひと」は、15歳の少年が初めて関係を持った年上の女性との生涯を描く物語。

物語の序盤は、15歳の少年マイケルが年上の女性ハンナと知り合い、初めて肉体関係を体験し、その後快楽に落ちるという、主に背徳的な姿が描かれていて、単純にエロス路線ですが、途中から少年が女性に対し、本を朗読し始めると、映画の雰囲気はガラっと変わっていきます。※年上女性を演じるケイトウィンスレットの脱ぎっぷりもすごいですが、この作品で彼女はアカデミー主演女優賞に輝く。

そして、付き合って数ヶ月経ったある日、女性は突然少年のもとを去りますが、それから数年後ある裁判の容疑者として女性が出廷しているのを法学部?の大学生になっていたマイケルは、体験講義として傍聴席から観ることになります。その女性がハンナでした。

ハンナの罪は、捕虜収容所での虐殺に関する容疑。捕虜収容所の管理をしていたハンナは、収容所に集められた捕虜を次の収容所に送る仕事をしていました。

捕虜の中から毎回10人ほど自ら選んで、次の収容所(ガス室?)に送っていました。この容疑に関する裁判が行われると、捕虜収容所で同じく仕事をしていた女性らが呼ばれ、唯一そこの収容所から生き残った母子がこの裁判の証言台に立ちます。

しかし、これによって状況が悪化するとハンナとともに働いていた収容所の同僚たちは、すべての虐殺の責任をハンナ一人になすりつけます。その証拠の書類があるという同僚らの話を聞くと、裁判官は書類の筆跡鑑定をすればわかると、ハンナにサインを求めます。

しかし、ハンナはサインをすることを拒否すると、同僚の意見をすべて認めてしまいます。

傍聴席で一部始終を見ていたマイケルは、ハンナのことを深く知っていた自分が名乗り出ればハンナの裁判は逆転することがわかっていたが、公にさらしたくない二人の秘密を言うことに躊躇い、結局最後まで出廷することができず、ハンナは無期懲役の刑が確定してしまいます。

それから数十年が過ぎ、娘を持つ父親になっていたマイケルは、ある時からハンナが収監されている刑務所に、自分でマイクに向かって本を朗読したカセットテープを送るようになります。

ある日、ハンナからマイケルの元に一通の手紙が送られてきて中身を開くと、小学生の低学年のようなカタコトの内容と字体で短い文章が綴ってありました。それを見たとき初めてマイケルはハンナが文字が書けなかった事(読めなかったこと)を知ります。

それらはマイケルが朗読していた文章の一説をハンナが覚えており、刑務所の図書館で同じ本を借りて、朗読の文章と文章の配列から、単純に単語だけを組み合わせた文章でした。

それから時が流れ、ハンナが釈放されることになると、誰も身寄りがいなかったハンナに身元引受人としてマイケルが選ばれます。迷ったあげくマイケルは、ハンナに会うことを決めます。

すでに顔はシワシワで老女となっていたハンナだが、大人になったマイケルを観ても「ぼうや」と以前の呼び名で呼びかけます。仕事や住む家などすべて用意しているから大丈夫だとハンナに告げると、釈放の日は「静かに出たい」と言って別れます。

ハンナが釈放される当日、マイケルが花を持って刑務所を訪れると、ハンナはすでに亡くなっていました。刑務所の部屋を片付けるわけでもなく、部屋をそのままの状態に残し、遺書とお茶の缶に少しのお金を残して、自殺していました。

遺書には、貯めて置いたお金を捕虜収容所にいた被害者の母子に渡してくれというものでした。

マイケルは、ハンナの希望通り、アメリカにいる被害者の母子に会いに行きます。

すでに被害者の母は死んでおり、娘が大きくなり、調度品が溢れる立派な家に住んでいましたが、ハンナのお金の入ったお茶の缶を渡すと、お金はいらないと言って、お金を抜きアンティークなお茶の缶だけ手に取ります。

マイケルは、自分とのハンナの関係や収容所での事実を告げますが、被害者の娘からは、「思い出したくない。収容所で学ぶものは何もない。」と言われます。しかし、今までで抱えていた秘密を人に話したことで、心の荷が下りたのかマイケルは、被害者の娘に「ありがとう」と告げると、アメリカを後にします。

帰国したマイケルは、上手く接することが出来ないでいた自分の娘にハンナの墓を見せると、ハンナとの馴れ初めを語り出します。…end


評価 ★★★★★ (星5つ)

(始めの少年と年上女性の快楽に溺れる背徳な感じとは裏腹に、捕虜収容所での戦争の悲惨さや、なども語られており、時代に翻弄される人の姿が描かれている。特に、愛を読むひと、読んでもらう人が、文字が書けない(読めない)というオチは、長い時間を通してわかる事実で感動的である。ただ、最後に自分の娘にハンナとの関係を語るのはどうだろうかとも思ってしまった。)


愛を読むひと 完全無修正版


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映画「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」の感想(ネタバレ)

2010.07.28 Wednesday 映画レビュー(★★★★★)作品

■映画「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」の感想(ネタバレ)



■監督:デイビッド・フランケル 
■出演者:オーウェン・ウィルソン ジェニファー・アニストン エリック・デイン アラン・アーキン メリル・ストリープ アン・ハサウェイ エミリー・ブラント スタンリー・トゥッチ

全米2週連続第1位に輝いた映画「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」が早くもWOWOWで放送していたので早速録画してみました。

WOWOWで数年前に放送していた人気海外ドラマ「フレンズ」のレイチェル役でお馴染みのジェニファーアニストンが出ていること+犬(好きな動物モノ映画)ということで、個人的に期待が高まりますが、その期待を裏切ることなく、とても心温まる良い映画に仕上がっています。

主役のオーウェンウィルソンとジェニファーアニストンのコンビも息が合っていて良いです。

この映画は、もともと「マーリー」という原作の映画化ということで、サブタイトルの”世界一おバカな犬が教えてくれたこと”は邦題のみになるかと思いますが、見終わって思うところで、この邦題サブタイトルは、何かを大きなオチを期待してしまうだけなので、あまりいらないと思います。

この映画を見ても、世界一おバカな犬が教えてくれたこと=○○ という決められた答えは特に用意されていないように思います。答えは視聴者まかせ。

「HACHI 約束の犬」のように主人を駅で待っていたという泣けるような大きなエピソードがあるわけではなく、意外と犬との日常を淡々と描いたストーリーでとにかくじっとせずに問題や迷惑を掛け、イライラしてしまう犬(マーリー)ですが、いざ病気で死の床にふすようになると、なんとも言えない感情があります。

人間がほしがっているものをくれるというシーンは少なく、世話がとにかく焼けるが印象が強いですが、その世話が焼ける時間を一緒に過ごしたことが、とても重要だったということを、マーリー居なくなって後で知らせてくれる、そんな映画です。世話している時は一生懸命であまりわからないですね。


評価 ★★★★★ (星5つ)

(「HACHI 約束の犬」とは、真逆のようなダメ犬です。一緒に過ごしている時に迷惑ばかりで感動は少ないですが、ただ、見終わった後にグッとくるのは、損得ではない”何か”をもらっていたことを感じるからだと思います。個人的に、この映画は犬(マーリー)とのシーンよりも、オーウェンウィルソンとジェニファーアニストンのシーンの方が気になるシーンがある。子供を作る準備が出来ていない、ジョン(オーウェン)に対して、砂浜を歩きながら、ジェニー(ジェニファー)がジョンを思いやるシーンは好きです。)

マーリー(※原作本)


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映画「ベンジャミンバトン 数奇な人生」の感想(ネタバレ)

2010.07.23 Friday 映画レビュー(★★★★★)作品

■映画「ベンジャミンバトン 数奇な人生」の感想(ネタバレ)



■監督:デビッド・フィンチャー 
■出演者:ブラッド・ピット ケイト・ブランシェット タラジ・P・ヘンソン ジュリア・オーモンド ジェイソン・フレミング ティルダ・スウィントン 

「グレートギャッツビー」の作品で有名な作家スコットフィッツジェラルドが書いた短編小説を「セブン」「ファイトクラブ」のデビットフィンチャー監督がブラッドピット、ケイトブランシェットを迎えて映画化した「ベンジャミンバトン 数奇な人生」がWOWOWでハイビジョン放送していたので録画してみました。

ベンジャミン・バトン

ベンジャミン・バトン

価格:500円(税込、送料別)


老人で生まれて年を取るほどに若くなるという普通の人とは真逆の人生を生きるベンジャミンの生涯を描くという、ある種非現実な内容ですが、ベンジャミンが一人の女性(デイジー:ケイトブランシェット)との愛についても同時に描くことで、この設定がより興味深くなっているように思います。

始めは、老人で生まれるという設定に、どうやって生まれる?と想像できなかったが、単純にシワシワの老けた赤ちゃんの状態で生まれるということで納得。その後、老けたまま成長し、本当の老人のように車椅子生活があり、ある時から急に歩けるようになるという逆の現象が起きる。

肉体的には、若返るが、始めは老人なので、同じような老人達と共同生活する。しかし精神的には子供なので、老人たちの中での自分の存在はどこか浮いてしまう。また、老けているため同じ年代の子供のように学校にも通えない。

そして、好きになる子は、隣に住むベンジャミンと同じような精神年齢を持つ小学生の女の子。しかし、一緒に遊んでいるだけでも周りからは変な目でみられてしまう。

この映画は、話が進むほどにベンジャミンと周りとのギャップ(ズレ)がより興味深くなっていく。しかも、そのギャップが細部まで詰められているため、肉体と精神の不一致に対するベンジャミンの苦悩がまるで自分がベンジャミンになったようにリアルに感じることができる。

最後は、肉体的には子供になるが、年齢的には痴呆症が進んでおり、人の見分けすらつかないほどボケてしまう少年(ベンジャミン)の姿には、なんともいえない感覚がある。

特に、この映画は、ベンジャミンの視点もあるが、のちにベンジャミンが愛した女性(デイジー:ケイトブランシェット)から見たベンジャミンの目線があるが、これが特に素晴らしい。

ベンジャミンの人生も悲しいが、それを見守る側も悲しい人生。

そして最終的には愛する人と同時に年を取れない(一緒にいれない)苦悩がこの映画にはある。


評価 ★★★★★ (星5つ)

(賛否両論あるようですが、個人的には久々に星5つ付けたい作品です。この映画は、原作がありますので、そちらも読んでみたくなります。)


ベンジャミン・バトン 数奇な人生


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映画「扉をたたく人」の感想(ネタバレ)

2010.07.08 Thursday 映画レビュー(★★★★★)作品

■映画「扉をたたく人」の感想(ネタバレ)





■監督:トム・マッカーシー 
■出演者:リチャード・ジェンキンス ヒアム・アッバス ハーズ・スレイマン ダナイ・グリラ

2009年度のアカデミー主演男優賞候補にプラッドピット(ベンジャミンバトン 数奇な運命)、ショーンペン(ミルク)らとともにノミネートされたリチャードジェンキンスの映画「扉をたたく人」がWOWOWで再放送していたので録画してみました。

この映画「扉をたたく人」のあらすじは、妻を亡くして心を閉ざした孤独な大学教授がアパートの間違いによって知り合った、ドラム奏者(ジャンベ)の移民青年(タレク)との交流を経て、音楽に触れ合いながら徐々に心を開いていくストーリー。

忙しいふり、働いているふり、”ふり”だけで…何もしていない」という予告編で流れる主人公のセリフが印象的ですが、それとともに、制度の悲惨さ、自分の無力さに憤りを感じ、その感情をジャンベ(楽器)にぶつけ、地下鉄のベンチでとりつかれたように太鼓を叩くラストのシーンは、これぞ音楽といった感じで感動を呼ぶ。

ここ(地下鉄)で演奏できれば稼げるだろうな…、儲けは折半でどう?」という言葉を残して、結局その想いを遂げることができずに、シリアに強制送還された青年の悔いが残るラストだが、音楽を通して、何かを学べる素晴らしい作品。

もともとは妻が好きなピアノを習おうとしていた教授が、教え方が気に入らないのか幾度もピアノの先生を変え、最終的にその家のピアノを売ってしまい、打楽器(ジャンベ)にのめり込むという、意外な流れもすごく新しい。

習い始めは、節目がちなで自信のない演奏だったが、ラストの地下鉄での演奏では、自信がみなぎるような、熱い演奏を見せる。演技もさることながら、このラストの演奏を観るとアカデミー賞にノミネートされるわけだと納得してしまう。

音楽のメロディも大事だが、リズムは人間が一番感情を表現しやすい音楽ですね。

この映画を観ると、なぜか無性にジャンベを叩いてみたくなりますが、楽天で調べると意外と安く一万円ほどで買えるみたいです。ギターよりも安いので始めやすい。


また、移民青年タレクが映画の中で教授におすすめしているCD、Fela Anikulapo Kuti (フェラ・クティ)のアルバムも良さそうですね。



音楽的にはかなり民族、アフリカっぽい感じがしますが、一応YOUTUBEでも少し聞けます。


評価 ★★★★★ (星5つ )

(最近見た、HACHI 約束の犬、グラントリノに続く、個人的に評価5をつけたい感動的な映画。この映画もHACHIほどではないが、思い出し泣きができる。とにかく音楽の良さ(生きがい、楽しさ)が十二分に出ているといえる。なぜ、邦題が”扉をたたく人”(原題 THE VISITOR)なのかが、最後まで疑問が残る。)


扉をたたく人



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クリントイーストウッド監督の映画「グラントリノ」の感想(ネタバレ)

2010.06.22 Tuesday 映画レビュー(★★★★★)作品

■クリントイーストウッド監督の映画「グラントリノ」の感想(ネタバレ)



■監督:クリント・イーストウッド 
■出演者:クリント・イーストウッド ビー・バン アーニー・ハー クリストファー・カーリー 

クリントイーストウッド監督、主演の映画「グラントリノ」を見てみました。ちょうどWOWOWで丸一日クリントイーストウッドの映画を流すクリントイーストウッド祭りがありましたが、その最後にやっていたのが、たしかこのクリントイーストウッド監督の最新映画「グラントリノ」です。

あらすじは、愛妻に先立たれてしまった元軍人で人間嫌いの偏屈な老人が、隣に引っ越してきたアジア人の家族との交流を経て、改めて人生の意味について考えるというヒューマンドラマ。

なんとなく同監督のケビンコスナー主演の映画「パーフェクトワールド」を彷彿するような、男の友情が描かれていて、友情ものに弱い自分としては、心に響く内容だった。

個人的にこの映画の中で気に入っているシーンを挙げると、隣に住む内気なアジア人の少年に、アメリカ男としての立ち振る舞いを教えようと、クリントイーストウッド演じる男が、バーバ−ショップ(美容室)を営むイタリア系の友人を紹介して、アメリカ式の汚い挨拶や会話を教えるというシーンが一番に浮かぶ。

ハリウッド映画でお馴染みの、男同士のゲイネタや差別用語、悪口のしくみを上手く挨拶、会話に入れる方法を例題を挙げながら、詳しく?解説している。

この部分を観るだけでも、アメリカ人の男同士の人間関係の付き合い方が少し学べるのが面白い。

日本人は、初対面の人に対していきなり誰かの悪口を言ったりしませんが、アメリカ人は、その場にいない人の悪口を積極的に言うことで、より関係が円滑になるという面があるらしい。ここの3人のシーンは、まるでコントのようで笑えます。

こんなシーンもありますが、最終的には泣ける感動作ですね。この映画も「HACHI 約束の犬」と同様、個人的に思い出し泣きが出来る素晴らしい作品です。

★★★★★ (星 5つ)

(この映画は、ラストのオチも含め、ホント素晴らしい。人に全く興味を抱かなかった老人(男)が、血の繋がった実の家族ではない、単なる隣人に徐々に心を開き、最終的には、自分の命を懸ける決断(自己犠牲)をしてしまうという、人間関係の凄さ、素晴らしさが描かれている。)


グラン・トリノ

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リチャードギア主演の映画「HACHI 約束の犬」の感想(ネタバレ)

2010.06.18 Friday 映画レビュー(★★★★★)作品

■リチャードギア主演の映画「HACHI 約束の犬」の感想(ネタバレ)

 

■監督:ラッセ・ハルストレム 
■出演者:秋田犬 リチャード・ギア ジョーン・アレン サラ・ローマー ケイリー=ヒロユキ・タガワ

日本のハチ公物語をリチャードギアを主演に迎えてハリウッドでリメイクした映画「HACHI 約束の犬」が、WOWOWで再放送されていたので録画してみました。

昨年(2009年)の日本での劇場公開時には、リチャードギアが笑っていいとものテレフォンショッキングに出演し、タモさんとのトークなんかもありましたが、そのときは、リチャードギアがハチ公物語?と特に期待もしていませんでしたが、あらためて見て、ビックリの感動的な物語に仕上がっている。(※もちろんもともとのオリジナルが、動物の感動的な物語というのもありますが)

日本の映画をハリウッドでリメイクする場合、大抵アメリカの間違った解釈によって、オリジナル版とは全くの別物に仕上がってしまうものが多いが、この映画「HACHI 約束の犬」は、リメイクという言葉では不足するほど、全く別物とも思える素晴らしい作品になっている。

見終わった後に気づいたのが、監督は「ギルバート・グレイプ」や「サイダーハウスルール」などの感動作で有名なラッセハルストレムだった。そういえば、情緒豊かに描く世界観や雰囲気を映像に醸し出す感じに共通点がある。

ちなみにこの映画の一番の功労者(犬)は、リチャードギアと共演している秋田犬の犬(HACHI)でしょう。たまに吠えることくらいで全くセリフがない、秋田犬ですが、人間のような感情を持っているように、微妙なニュアンスを顔や仕草で表現します。

リチャードギア(主人)が突然亡くなり、その事実を知らず(理解できず)、ただただ、いつものように駅で待ち続ける姿には、涙が出る。また、駅で定刻に待つHACHIに、「HACHI!」と帰り際に声を掛ける近所の人や名も知らない人たちの姿もなんともいえない感覚を覚える。

そしてラスト、夫(リチャードギア)を亡くし、やもめになってしまった妻とHACHIの駅での再会のシーンは涙が止まらなくなる。

以前飼っていた犬を亡くした悲しみがまだ癒えず、新しい犬(HACHI)を飼う事に一番反対していた妻だったが、夫や娘がHACHIを可愛がる姿にHACHIを飼う事に徐々に気持ちが揺らいでいく。

そして、一人娘の結婚が決まり、子供が出来ると娘は家を出てしまう、夫が仕事に出てる間、代わりにHACHIの世話をする機会が増えた妻は、昔飼っていた犬と同じようにHACHIに対しても愛情を注ぎ始めるが、それからまもなくして、夫は突然亡くなってしまう。

夫を亡くしたことで、一人では住むには広すぎる一戸建ての家は売りに出すことになり、妻は一人別の場所に引っ越し、それとともに一人では世話が出来ないためHACHIは、娘夫婦が世話をすることに─。

そして、数ヶ月、数年が過ぎ、たまたま以前住んでいた町に訪れた妻は、駅でずっと待ち続ける老いたHACHIを見て、歩み寄る。

時間が経つにつれ夫の存在を忘れ、変わっていく人たちの中で、妻の心と同じように夫の存在を忘れずに心に残している、HACHIの姿がそこにあった。

ここの妻とHACHIのやりとりはなんともいえない。

セリフが全くないHACHIだが、夫を亡くして傷ついている妻に何かを語りかけているような、仕草や表情がある。

★★★★★ 評価 星5つ

(この映画「HACHI 約束の犬」は、映画を見ているとき以外にも、思い出し泣きをしてしまうほど、心にぐっと来る映画ですね。HACHIを愛するリチャードギアの視点だけでなく、その家族(妻、娘、娘の夫)や、HACHIが待ちつづける駅の駅員やコーヒー販売員、駅がある街に住む人々から見たHACHIなど、いろんな視点で描かれていて、一途に待ち続ける愛の姿が心に迫る。)


HACHI 約束の犬


JUGEMテーマ:おすすめの一本!!(洋画)
 

映画「ファーストフードネイション」の感想(ネタバレ)

2010.06.18 Friday 映画レビュー(★★★★★)作品

■映画「ファーストフードネイション」の感想(ネタバレ)

 

■監督:リチャード・リンクレイター 
■出演者:グレッグ・キニア イーサン・ホーク アヴリル・ラヴィーン パトリシア・アークエット ポール・ダノ ブルース・ウィリス 

ハンバーガーを30日間食べ続けたらどうなるか?という人体への影響を実際に体験して綴ったドキュメンタリー映画があったが、その作品だと思ってWOWOWを録画してみたら、全然違っていたという、間違って録画してしまったこの映画「ファーストフードネイション」。

しかし、見た後にわかったが、この映画の出演者は、見れば解るとおり、かなりの豪華キャスト。ブルースウィリスやイサンホークも出てるし、なぜか歌手のアヴリルラヴィーンも出演している。

ちなみにこの映画もハンバーガー業界の裏側を綴ったノンフィクションの書籍を原作にしたもので、食(ファーストフードのハンバーガー)に対して、かなりの衝撃的なことが描かれている。

ファストフードが世界を食いつくす

ファストフードが世界を食いつくす

価格:1,680円(税込、送料別)


原作は、食のジャーナリストのエリック・シュローサーが書いた「ファーストフードが世界を食いつくす」がもとになっているらしく、この映画の脚本もこの原作者が兼ねているということで、精肉業界のリアルな裏側が見れる。

今まで、ハンバーガーを始め肉を食べるということに対して、美味い、安いということ以外に特に感じることも無かったいろいろな感情が、この映画を観ると沸々と湧き出す。

ストーリーは、ハンバーガーの肉の中にフンが混入しているという情報を受けた幹部が、その原因を調べるために店舗や牧場、精肉工場を調べに行くというところから物語がスタートする。その後、働くもの、雇うもの、など様々な視点で描かれていく。

精肉業を支えているのが、実はメキシコ?からの不法入国者で、自国(メキシコ?)では大人が丸一日働いても3〜4ドルしか稼げないが、アメリカで働くと時給10ドルで自国での一か月分の給料に相当する額を一日で稼げるということから、危険を冒してでも出稼ぎにくる不法入国者が後を絶たない。※またそれを専門に斡旋する業者?もいる。

しかし、不法入国者ということで、肉の加工時に指や足を落としてしまう危険がある精肉業の仕事では、いざってときの傷害保証(日本で言うところの労災)はほぼなく、何かあっても不法入国者と言う事実があるため、公には企業を訴えることもできず、結局泣き寝入りすることになる。

不法入国者にとっては一生懸命働いても、お金以外にアメリカで得られるものは少ない。

ただ、企業側にとっては、一生懸命働いてくれる不法入国者のような労働者は、不法入国者とわかっていたとしても雇用を容認しているといえる。この背景には、少しでも肉の原価を安くしようとする価格競争や効率化、システム化などが要因にある。

また、消費者側が常に安い価格を求めている以上、この問題はなくならないという皮肉がラストには込められていて、結局、上層部の会議で、価格が問題に上がれば、そのコストを下げるために底辺の人間が影響を受ける。そして、そのしっぺ返しが、安いだけで質の悪い肉として消費者に周ってくるという弊害がある。

これ以外にもいろいろとハンバーガー(肉)というビジネスを行う上での、政治との関係など内部事情などがリアルに語られているが、一番衝撃的なのが、牛が肉になる工程をリアルにそのまま映した、精肉工場内の映像だと思う。

この映画がR15指定相当になっているのはたぶんこの部分のためだろう。

コーエン兄妹の映画「ノーカントリー」の殺し屋が使っていたガス?の銃を使い、ベルトコンベアーで流れてきた、生きた牛の眉間に押し当て引き金を引く。眉間に銃?を当てられた牛はスコン!と言う乾いた音だけが響いて一瞬で死んでしまう。

殺された牛は、またレールを流れると、逆さまにさせられ首の辺りから血が抜かれ、外側の皮をはがれると、足や首を切断される。首だけになった牛の頭は専用の籠に集められる。牛の頭だけが並んだこのシーンはかなり衝撃的。

そして、はらわたは、肉の部分と腸に分けられ、これもまた、腸だけが集められる。魚の腸ですら、さばくと見た目はひどいが、牛の腸はさらにでかく、ブヨブヨとして気持ち悪い。

最終的に、肉の部分は、白身と赤み、サーロインなど部位によって手作業で切り分けられる。

集められたハンバーガー用の肉は、専用の機械で一度ミンチにされ、ハンバーガーのサイズに成型なり、冷凍後、箱詰めしたのち、それぞれの店舗へ向かう。

以下の流れが、ハンバーガーが牛から作られるまでの基本的な流れだが、牛が肉になる工程は、ある種、殺戮のようで血が滴る映像は観るだけでもかなりの衝撃を受ける。これを実際に行っている現場にいったら、もう肉は食べられなくなりそうだ。

仕事が分業されているため、自分も含め一般の人は肉を食べるということに、牛や豚などの動物を殺している感覚は、ほぼないが、この映画「ファーストフードネイション」を観ると、人は他の動物の命を喰って生き伸びているということを再認識させられる。

★★★★★ (評価 星5つ)

(これを書いているどこかで、牛の眉間にガス?銃を当てている人がいて、その人はどういう気持ちで毎日牛を殺しているのかを考えると、肉(動物)を消費するということに対していろいろな感情が湧き上がり、肉に対しての価値観が変わる映画といえます。こんなことを書きつつ、また当たり前のように旨いと言って肉を食べてしまう自分がいるのも嫌ですが、せめてファーストフードのハンバーガーを食べるのだけはやめたいと思う。ちなみに、この映画の話はアメリカの話なので日本のハンバーガーチェーンとの関係性についてはわからない。)


ファーストフード・ネイション デラックス版



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