- 2023.09.13 Wednesday
映画「ニトラム/NITRAM」の感想(ネタバレ)
映画「ニトラム/NITRAM」の感想(ネタバレ)
■監督:ジャスティン・カーゼル
■出演:ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ ジュディ・デイヴィス エッシー・デイヴィス ショーン・キーナン アンソニー・ラパリア
映画「ニトラム/NITRAM」のあらすじ
オーストラリアの観光地タスマニア島で両親とともに暮らすニトラム。子どものころから情緒不安定で落ち着きがなく、花火で大やけどを負い、入院する騒ぎを起こしたこともある彼を、両親は絶えずハラハラしながら見守っていた。サーフィンに憧れを抱く彼は、ボードを買う金を稼ぐため、近所の庭の芝刈りのバイトをすることを思い付く。引きこもりの裕福な女性ヘレンと知り合ったニトラムはつかの間の自由と幸福を味わうのだが……。
※WOWOWから引用 https://www.wowow.co.jp/detail/180362/-/01
【映画「ニトラム/NITRAM」の感想(ネタバレ)】
第11回オーストラリア・アカデミー賞で、作品賞ほか主要8部門を受賞し、カンヌ国際映画祭でも主演男優賞を受賞したという人間ドラマ。
情緒不安定な青年が裕福な女性と出会って…という番組情報とカンヌ受賞作品というのに惹かれて選んでみた。
主人公の青年は、いわゆる重度のコミュ障?を抱えていて、仮に彼が学校に通うなら、その日の内か長くても2〜3日中には、たぶん皆と同じ教室から別の部屋へと隔離され、ひどければ、そのまま退学させられてしまうような状態である。
そのため両親は彼が大人になっても、自宅から外になるべく出さないように日々気を配りつつも、彼のことを見守っているというそんなある種、特殊な家族の話である。
始めは、子供のような振舞いをするこの青年主人公にハラハラしつつ、また、まるで言うことを聞かない天真爛漫過ぎるやり過ぎな行動には何度もイライラしてくる。
そんな彼をずっと世話してきたストレスからか、息子のトラブルには露骨に嫌な顔をして厳しく接する母親の態度には理解しつつも、息子がこうなったのはこの母親が原因なのか?と疑うこともあり、一方で出来るだけ息子を尊重し、日々優しく接しようとする父親の姿には共感と共に救いもある。
決して有名俳優が出てる作品ではないが(と思う)、演出含め、出演者の演技がドキュメンタリーかと思うほど、リアルに描かれていて、この青年が生きている限り根本的解決は望めないであろう、この家族の果てには何が待っているのか?というオチが気になって仕方ない。
番組情報をしっかり見れば、オチは想像できてしまうが、物語に関しては何も情報を入れずに見たので、それが逆に良かったように思う。
これから見る人は、何も情報を入れずに見ることをおすすめします。すでにオチありきのドラマとみるか、結果的にそこに向かって行ってしまったのかで、この映画の感想や見方は大分変わると思う。
評価 ★★★☆☆ (星3.6)
(まとめ:出演者のほぼ全員の演技が上手いオーストラリア産の人間ドラマ。主人公の青年(主演男優賞)は、本当にそういう人に見えるし、彼の両親も本当にそういう家族に見える。後半になるにつれ、予定されていたように破滅に向かっていくのも切ない。オチは別にして、こんな主人公にも共感できる部分もあり、その点は、人間が描けてるし、よく出来てると思う。)
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