- 2024.03.03 Sunday
映画「恋の渦」の感想(ネタバレ)
映画「恋の渦」の感想(ネタバレ)
■監督:大根仁
■出演:新倉健太 若井尚子 柴田千紘 後藤ユウミ 松澤匠 上田祐揮 圓谷健太
映画「恋の渦」のあらすじ
コウジとユウタはもてない友人オサムに恋人を見つけようと、コウジとその恋人トモコが暮らす部屋を舞台にした合コン=部屋コンを開き、若い男女9人が集まる。オサムに紹介されたユウコはあまり魅力的ではなく、彼女を押し付けられたオサムも不機嫌。しかし合コン後、ユウコとオサムは惹かれ合って交際を始める。やがて仲間のタカシとカオリも付き合い出すなどうまくいくカップルもいれば、関係がこじれていくカップルもいて……。
※WOWOWから引用 https://www.wowow.co.jp/detail/192812
【映画「恋の渦」の感想(ネタバレ)】
「何者」の三浦大輔監督による同名戯曲を、「モテキ」の大根仁監督が映画化した群像劇。
タイトルに惹かれて見てみた。
内容的には、20代の8人の若い男女(ギャルやギャル男)による友情や恋愛模様をそれぞれの自宅(4部屋)のみのカットだけで描いた話。
始めの15分位は、渋谷のギャルとギャル男みたいな見た目に全振りした登場人物(将来のことを何も考えて無さそうな人)たちによるノリだけで全く面白くない合コンを見せられ、反吐が出そうになるが(笑)、それぞれが自宅に戻って本音を話し出すと、様子は一変し、急に興味性が増していく。
そこから、20代の若者に特にありがちな、本音と建て前やプライドと性欲など(大なり小なり誰もが持ってるあるある感)からの、様々な感情が溢れ出して、次第にそれぞれの人間関係に不和が生じる。
出演者は、俳優なのか素人なのかもわからない、一般的にはほぼ無名のキャストが演じているが、演技がリアル過ぎて、どこまでが演技なのかドキュメントなのかわからないほどシーンが生々しい。
本当にこういう人たちは現実にもいるが、あえて寄せて演技してるのか、そういう人達を集めてきたのかは、よくわからないが、完全に役に成りきれてる。
ちなみに、出演者の演技?もすごいが、この作品のオチ含む全体の脚本も計算されていて、かなり良く出来ている。
適当に見てると、ただのチープ(低予算)な変なドラマにしか思えないが、徐々に壊れていく人間関係の破綻など、緻密に計算されていて、後半になるにつれ、それぞれのカップル間(友情)が全体で盛り上がるようにもなっている。
そして、なんと言っても、誰一人全く共感できないような登場人物のはずが、すったもんだあった後半では、そこそこ共感したり感動させられてしまうところだろう。
まったく他人事で描いていれば、最後まで見ても、何も感じないと思うが、ある状況においてそれなりに共感が生まれているのは、に人間がちゃんと描けていて、物語としてよく出来ている証拠だと思う。
139分とそこそこ長い作品だが、後半になるにつれ、いつまでも見てられそうなスルメ感もある。
この訳のわからない8人の行く末が意外と気になってしまう。
ナオキ(弟)は最後までどうしようもないし、コウジ(兄)に関しては、最初からずっとどうしようもない。
ナオキが語る、浮気の理論(まず絶対的彼女がいて…)は、話のネタとしてぜひもっておきたい。
評価 ★★★★☆ (星4.5)
(まとめ:映像はチープだが、物語としての完成度(人間関係の描写の濃密度)はめちゃくちゃ高い群像劇の傑作。大学生や20代で一人暮らしや同棲してるなら、誰もが経験したことがある、恋愛のあるある話(人間のダメさ)を、ここまでド直球に生生しく描いてる作品は、他にないかなと思う。他はもっとオブラートに包んで、詩的に描いたり、格好良く見せたりしている。これは原液か、濃縮果汁です。濃縮還元で水で戻してもいない。最初の15分我慢できれば、最後まで見る価値は十分あります。)
>>恋の渦
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