映画「運命を分けたザイル2」の感想(ネタバレ)
2012.02.24 Friday ドキュメンタリー映画レビュー
■映画「運命を分けたザイル2」の感想(ネタバレ)

■監督:ルイーズ・オズモンド
■出演者:ジョー・シンプソン ロジェ・シャーリ シモン・アンターマッテン アンドレアス・アベグレン シリル・ベルト
WOWOWで放送していた映画「運命を分けたザイル2」を鑑賞。
【映画「運命を分けたザイル2」のあらすじ】
かつて南米アンデス山脈の6400mもの高山で遭難し、死線をさまよった末、奇跡の生還を果たしたイギリスの登山家J・シンプソン。その後、自身の体験をつづった著書「死のクレバス アンデス氷壁の遭難」を刊行し、それを映画化した「運命を分けたザイル」も大きな話題を呼んだ彼が、今回は、1936年にアイガー北壁で起き、歴史的にも広く知られた悲劇的事件を、自身の臨死体験と重ね合わせながら、逐一詳細に物語っていく。
※WOWOWから引用
【映画「運命を分けたザイル2」の感想(ネタバレ)】
「運命を分けたザイル」で自身の瀕死体験を再現、解説したジョーシンプソンが尊敬する登山家トムクルツのアイガー北壁登頂での事故を当時の再現映像とジョー自身が実際に現場に登り解説する続編的パート2。
今度の主役は、トムクルツという若き登山家。1936年にアイガー北壁という人類未登頂?の山(北壁側からはまだ誰も登ったことがない)に挑むトムクルツらパーティ4人に降りかかった事故に迫った物語だ。
今回は、前回と違い生還者の本人が解説しているわけではないので、登山の結果は全く不明で話が進む。
ちなみに、前回の主役で足を骨折し、もう登山はできないと医者から通告されていたジョーは驚異的なリハビリの末、復帰していた。今回は自身もアイガー北壁に登り、現在の視点から過去のクルツの辿ったルートの解説をしている。
さすがにアイガー北壁は凄まじいのか、ヘリで解説スポットへ輸送してもらい、そこから撮影を行っている。
■さて、トムクルツの物語の方だが、これもなかなかの物語で、危険なルート選択に始まり、足場ザイルを解く判断ミスを境に、崩落による仲間の負傷、3分の2地点での負傷した仲間の体調悪化による急遽登頂断念からの引き返し。
足場ザイル解いてしまったことによる帰りルート通行不能により、危険な懸垂下降選択。残り60Mほど残したところで雪崩に巻き込まれ、パーティ滑落により全員死亡、トムクルツのみ宙吊りで生き残るが、悪天候により救出隊近寄れず、宙吊りのまま一夜を迎える。
翌朝、救助隊が救出に来るが、思ったより距離があるためクルツにザイルの確保を命じる。クルツは下で壁に激突して死んでいる仲間に繋がるザイルを切断し、ザイルを確保する。
体力がないながらも再びザイルを登り、宙吊り状態から一度解放される。上で二人の体重を支えたことで圧迫死している仲間を他所に再びザイルを確保する。救助隊も持っていたザイルが足らず、二本分を一本に結び繋げてクルツに渡す。
クルツは、手が凍傷で動かないなか、ザイルを結び直し、降りるための準備をする。五時間ほどかけようやくザイルの準備が出来るが、クルツは、すでに片手が凍傷により、使い物にならないため、降りるための安全策を講じザイルを体に通すスタイルで降りていくが、あと一歩のところで、二本のザイルを結んだコブの部分が鎖の中を通らず引っかかる。
これはザイルを体に通す安全策を選択をしたことが原因だった。
クルツは救助隊を目の前にし、再び宙吊り状態に。ザイルの長さが足りないため、救助隊は近くにいても励ますだけで何も手出しできない。他のルートや方法は皆無だからだ。
クルツは、固く結ばれたザイルのコブを解き、鎖の中を通さなければならないが、大吹雪の中を宙吊り状態で夜を明かしており、手と体力はすでに限界だった。クルツは結び目としばらく格闘するが、「終わりだ」と声を漏らすと、宙吊り状態でそのまま力尽きる。
パート1のジョーの物語はアライブしたが、パート2のクルツの物語は、デッドエンドだった。
パート1は忍耐がテーマだったが、こちらのクルツの物語も壮絶だ。クルツはすでに亡くなっているため本人視点はないので、すべてジョーの想像での解説だが、登山家の心理が浮き彫りになるほど、各状況がリアルに解説されている。
評価 ★★★★☆ (星4つ)
(宙吊り状態で最後は死ぬ姿が無念と後悔が入り混じった物凄い物語だ。登山家については、あまり良い印象がないが、登っている本人の心理状態を理解すると、第一級の心理サスペンスと言える位精神世界はドキドキで一杯だ。始めは協力者である仲間だが、負傷すれば、急遽お荷物になる、ルート選択やひとつの判断ミス、悪天候により、運命が変わってしまうなど、このパート2は登山家の心理の魅力をかなり伝えている作品だと思う。作業は山に登っているが、すべては自分との戦いだ。こんなにドキドキすることは他にないだろうなと登山家の気持ちが理解できる。ただ登りたいとは思わないが、アイガー北壁の絶壁ぶりはちょっと見たくなる。ちなみに名言も半端なく多い。)
最も偉大な山でも
美しい山でもない
最難関の山でもない
東稜 星陵 南稜からは
アイガーは普通の山に見える
伝説と言わしめる理由は
北壁だ
-ジョー
登山家は
可能性を試したいんだ
他人に理解など
されなくていい
無謀で無責任だといわれても
気にならない
-ジョー
何かを究めるには
没頭することも
必要なのだろう
-ジョー
楽しみを享受し
生きる喜びを味わう
-ジョー
世界の山々で
体験したことは
己を変える
自ら吸収することで
人生が豊かになり
向上していくんだ
-ジョー
若者というのは
自らの判断力や技術を
過信しているものだ
そうすることで
”自分は強い”と思える
だが実際は違う
-ジョー
登山は僕の人生すべてであり
情熱だ
-ジョー
運命は不安定だ
興奮と期待あふれる冒険が
一方にあり
もう一方に手に負えない
失敗がある
-ジョー
登山とは
リスクの高い賭けのようなものだ
運命を握るのは
自分とは限らない
-ジョー
7週間かけた本が
もし500部売れれば
幸せだと思った
新たな才能の発見だ
-ジョー
生き延びるためには
忍耐が必要だった
楽ではないが
それがすべてだ
-ジョー
他人には何の意味もないことだ
山頂でつかの間の
歓喜を味わい
下りればそれも消える
理屈では
全く説明がつかない
論理的な言葉では
決して語れない
だから登る
-ジョー
すべてを懸けるとは
苦痛や痛みを
耐えるだけではない
命を懸け夢を果たすべく
何もかも投げ打つ
-ジョー
運命を分けたザイル2 【DVD】

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■監督:ルイーズ・オズモンド
■出演者:ジョー・シンプソン ロジェ・シャーリ シモン・アンターマッテン アンドレアス・アベグレン シリル・ベルト
WOWOWで放送していた映画「運命を分けたザイル2」を鑑賞。
【映画「運命を分けたザイル2」のあらすじ】
かつて南米アンデス山脈の6400mもの高山で遭難し、死線をさまよった末、奇跡の生還を果たしたイギリスの登山家J・シンプソン。その後、自身の体験をつづった著書「死のクレバス アンデス氷壁の遭難」を刊行し、それを映画化した「運命を分けたザイル」も大きな話題を呼んだ彼が、今回は、1936年にアイガー北壁で起き、歴史的にも広く知られた悲劇的事件を、自身の臨死体験と重ね合わせながら、逐一詳細に物語っていく。
※WOWOWから引用
【映画「運命を分けたザイル2」の感想(ネタバレ)】
「運命を分けたザイル」で自身の瀕死体験を再現、解説したジョーシンプソンが尊敬する登山家トムクルツのアイガー北壁登頂での事故を当時の再現映像とジョー自身が実際に現場に登り解説する続編的パート2。
今度の主役は、トムクルツという若き登山家。1936年にアイガー北壁という人類未登頂?の山(北壁側からはまだ誰も登ったことがない)に挑むトムクルツらパーティ4人に降りかかった事故に迫った物語だ。
今回は、前回と違い生還者の本人が解説しているわけではないので、登山の結果は全く不明で話が進む。
ちなみに、前回の主役で足を骨折し、もう登山はできないと医者から通告されていたジョーは驚異的なリハビリの末、復帰していた。今回は自身もアイガー北壁に登り、現在の視点から過去のクルツの辿ったルートの解説をしている。
さすがにアイガー北壁は凄まじいのか、ヘリで解説スポットへ輸送してもらい、そこから撮影を行っている。
■さて、トムクルツの物語の方だが、これもなかなかの物語で、危険なルート選択に始まり、足場ザイルを解く判断ミスを境に、崩落による仲間の負傷、3分の2地点での負傷した仲間の体調悪化による急遽登頂断念からの引き返し。
足場ザイル解いてしまったことによる帰りルート通行不能により、危険な懸垂下降選択。残り60Mほど残したところで雪崩に巻き込まれ、パーティ滑落により全員死亡、トムクルツのみ宙吊りで生き残るが、悪天候により救出隊近寄れず、宙吊りのまま一夜を迎える。
翌朝、救助隊が救出に来るが、思ったより距離があるためクルツにザイルの確保を命じる。クルツは下で壁に激突して死んでいる仲間に繋がるザイルを切断し、ザイルを確保する。
体力がないながらも再びザイルを登り、宙吊り状態から一度解放される。上で二人の体重を支えたことで圧迫死している仲間を他所に再びザイルを確保する。救助隊も持っていたザイルが足らず、二本分を一本に結び繋げてクルツに渡す。
クルツは、手が凍傷で動かないなか、ザイルを結び直し、降りるための準備をする。五時間ほどかけようやくザイルの準備が出来るが、クルツは、すでに片手が凍傷により、使い物にならないため、降りるための安全策を講じザイルを体に通すスタイルで降りていくが、あと一歩のところで、二本のザイルを結んだコブの部分が鎖の中を通らず引っかかる。
これはザイルを体に通す安全策を選択をしたことが原因だった。
クルツは救助隊を目の前にし、再び宙吊り状態に。ザイルの長さが足りないため、救助隊は近くにいても励ますだけで何も手出しできない。他のルートや方法は皆無だからだ。
クルツは、固く結ばれたザイルのコブを解き、鎖の中を通さなければならないが、大吹雪の中を宙吊り状態で夜を明かしており、手と体力はすでに限界だった。クルツは結び目としばらく格闘するが、「終わりだ」と声を漏らすと、宙吊り状態でそのまま力尽きる。
パート1のジョーの物語はアライブしたが、パート2のクルツの物語は、デッドエンドだった。
パート1は忍耐がテーマだったが、こちらのクルツの物語も壮絶だ。クルツはすでに亡くなっているため本人視点はないので、すべてジョーの想像での解説だが、登山家の心理が浮き彫りになるほど、各状況がリアルに解説されている。
評価 ★★★★☆ (星4つ)
(宙吊り状態で最後は死ぬ姿が無念と後悔が入り混じった物凄い物語だ。登山家については、あまり良い印象がないが、登っている本人の心理状態を理解すると、第一級の心理サスペンスと言える位精神世界はドキドキで一杯だ。始めは協力者である仲間だが、負傷すれば、急遽お荷物になる、ルート選択やひとつの判断ミス、悪天候により、運命が変わってしまうなど、このパート2は登山家の心理の魅力をかなり伝えている作品だと思う。作業は山に登っているが、すべては自分との戦いだ。こんなにドキドキすることは他にないだろうなと登山家の気持ちが理解できる。ただ登りたいとは思わないが、アイガー北壁の絶壁ぶりはちょっと見たくなる。ちなみに名言も半端なく多い。)
最も偉大な山でも
美しい山でもない
最難関の山でもない
東稜 星陵 南稜からは
アイガーは普通の山に見える
伝説と言わしめる理由は
北壁だ
-ジョー
登山家は
可能性を試したいんだ
他人に理解など
されなくていい
無謀で無責任だといわれても
気にならない
-ジョー
何かを究めるには
没頭することも
必要なのだろう
-ジョー
楽しみを享受し
生きる喜びを味わう
-ジョー
世界の山々で
体験したことは
己を変える
自ら吸収することで
人生が豊かになり
向上していくんだ
-ジョー
若者というのは
自らの判断力や技術を
過信しているものだ
そうすることで
”自分は強い”と思える
だが実際は違う
-ジョー
登山は僕の人生すべてであり
情熱だ
-ジョー
運命は不安定だ
興奮と期待あふれる冒険が
一方にあり
もう一方に手に負えない
失敗がある
-ジョー
登山とは
リスクの高い賭けのようなものだ
運命を握るのは
自分とは限らない
-ジョー
7週間かけた本が
もし500部売れれば
幸せだと思った
新たな才能の発見だ
-ジョー
生き延びるためには
忍耐が必要だった
楽ではないが
それがすべてだ
-ジョー
他人には何の意味もないことだ
山頂でつかの間の
歓喜を味わい
下りればそれも消える
理屈では
全く説明がつかない
論理的な言葉では
決して語れない
だから登る
-ジョー
すべてを懸けるとは
苦痛や痛みを
耐えるだけではない
命を懸け夢を果たすべく
何もかも投げ打つ
-ジョー
運命を分けたザイル2 【DVD】

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